実際の大会では、どのように点数が付けられるのか。
審判の目から見た、評価の仕方をご紹介いたします。
自分から見た≪内側の評価≫と、周りから見た≪外側の評価≫の両方を意識した練習方法を工夫してみてください!
Ⅰ武術競技を行う目的
競技を通じ、技術交流を強化し、共にレベルアップを促し合い、知識を深め、意志を鍛錬し、経験を豊富にする事が出来る。また、武術太極拳運動の普及と発展に貢献し、その中から友情を深める事にもつながる。
《競技大会の中で、普及振興、友情を生み出し、人が育つ、技術の向上等に役立つ》
Ⅱ審判員が備える条件:厳粛、真剣、公正、正確
①「武術規則」の精通
◆「規則」とは武術太極拳の法律であり、規則を貫徹し執行する。
「思想・基準・物の見方」を統一しなければならない。点の段階に於いて統一した物差で評価し、規則の習得に努め、厳正かつ真摯に規則を施行しなければならない。
また規則の条文を理解するだけでなく、規則の基本精神も完全に理解し、採点基準、主な規格要求をもしっかり暗記し上手く運用する事が肝要である。普段から定期的に学習し、反応を敏捷にし、採点決定能力を向上させる事が望まれる
◆審判員は多大な責任感を有し、審判業務が極めて厳粛な仕事であることを認識していなければならない。
選手は競技に於いて好成績を得るため、日常的に厳しい練習をして、多くの汗を流して、資質の向上に惜しみない努力を積んでいる。従って、審判員は採点の過程で見逃しは許されない。審査観察に全神経を集中し、外界の条件に妨げられる事なく全力をもって審査観察を続けなければならない。
◆武術には異なる風格があり、審判員自身にもそれぞれの好み、或いは異なる流派がある。
公平な審判を実現するため、審判員は特定の技術風格に対する好みを捨てなければならない。審判員の点数表示は選手に対しての見解表明であり「厳粛、真剣、公平さ」はここに現れる。審判員には最大の正確さが要求される。
◆選手の演武終了時、複数の審判員の点数は必ずしも一致しない。
審判員の位置の違いにより選手を観察する角度が異なるため目に入る問題点も異なるからである。その結果、示す点数も同じである必要はない。また、審判員レベルにも違いがあり、観察能力・技術の熟練・判断能力にも全て差異がある。これは自然の事です。
②武術太極拳技術の熟知
◆審判員は一定の技術をも熟知し身につけなければならない。
審判員はある程度のレベルを実際に備えていなければ非常に難しい技術、豊富な内容を判断できない。そのため絶えず研鑽・研究し視野を広め、自からの知識を豊かにし、理解の範囲広大に努めなければならない。そして自らに確信を持ち、業務レベルを向上させ、内容を充実させ、審判業務がスムーズに出来る事を目的とする。
③肉体と精神が健康であること
◆審判員には高い集中力と強靭な身体が必要です。
審判員は長時間拘束されるため、高い集中力と精神力が望まれ、強靭な身体が必要です。神経を使う高効率を求められるハードな仕事が審判であり、身心共に健康であることが望まれる。
Ⅲ太極拳採点方法
①採点方法の要点
姿勢は【身型】を見、動作は【全身のまとまり〔完成〕】を見、全体を通しては【勁力】を見る。
◆太極拳の身型は姿勢が正確であるか否かが鍵である。
【中正安定】…身体を中正にして、安らか伸びやかにする
【自然支撑】…自然に支える
ゆるんでいて軟弱ではなく、又伸びていて硬くこわばってはならないことが要求される。全身のまとまり「完成」が動作の強調の鍵である。その核心は腰を軸として全身が相伴い手足が一致する事である。勁力の運用は太極拳の技術全体のレベルを現すものであり、軽敏かつ沈着、剛柔相済で虚有り実有り、円滑不断であることが要求される。
②配採点
◆満点 10点
【動作規格、三型五法…6点】
手法・歩法・身法の習慣性のミスはまとめて減点する。規格にわずかに合わなければ毎次0.05点減点。明らかに合わない場合毎次0.1 減点。大きく異なる場合毎次0.2点減点する。1つの動作で幾つミスが出ても0.2点を越える減点はしない。
【勁力協調の配点2点】
全体を通して現れるミス、要求とわずかに合わないミスは0.1~0.5点減点。 明らかに合わないミスには0.6~1点減点。大きく異なる場合は1.1~2点減点する。
【精神、速度、風格の配点は2点】
要求とわずかに合わない場合0.1~0.5点減点。明らかに合わない場合0.6~1減点。大きく異なれば、1.1~2点減点する。
・規格と比較し、前後の人と比較し、総合的に判断しいっぺんに引く
◆執行審判員業務 「失策性のミス」
①型未完成(完成しないで退場)…評点を与えない
②忘却…その程度に応じて0.1~0.3点減点
③器械、服装の動作への影響…その都度0.1~0.2点減点
④器械の変形…程度に応じて0.1~0.3点、折断・落下…0.4点減点。
破損して人を傷つける恐れが生じた場合は、審判長が中止を命じ破損部分を切断後続行させることが可…0.3点減点
⑤ラインアウト…コートラインの外側に身体が触れたら0.1点減点。全身が出たら0.2点減点
⑥バランス…崩した場合追加して支えれば、毎次0.1~0.2点減点。一動作中に連続して支えると0.3点減点。バランスを崩して倒れた場合、毎次0.4点減点
⑦動作方向の不一致…規定動作の方向が規定より45°以上ずれた場合、毎次0.1点減点
◆審判長業務
①起勢収勢
②やり直し
③時間過不足
④動作の過不足
Ⅳ全体的内容の具体的要求
①勁力…力点が正確で、力を順調に用いる。[スムーズ]硬過ぎず柔らか過ぎず勁力が充足している。
②協調…手法・眼法・歩法・身法が緊密に組み合わされている。手と眼が動作の方法として相随している。拳術は身体と器械が緊密に組み合わされている。
③精神…精神を貫く。内外が合一している。気勢が連関して途切れる事がない。
④リズム[速度]…快と幔が相伴っている。動と静がハッキリと分かれており、変化に富む。リズムがある。
⑤風格 内容 構成…風格が突出している。内容が充実している。合理的な構成、意味ない技術の編成をせず、勁力に順じて組まれたものであること。
⑥布局…動作が合理的に分布し、コートをまんべんなく使用している。
Ⅳ具体的採点の仕方
事前にすべき事項
①過去の資料があれば研究する。しかし参考にしてはならない。過去の成績の概念に捕らわれない。現実の動きを見る。
②選手練習など、練習の時から選手の動きに注目する。
③本番前の選手の態度を観察する。
Ⅴ開始時に注目する事
①選手入場時の礼節・歩き方・目の動き・姿勢
②服装のチェック 表演服・ゼッケンの付け方・時計や腕輪や首飾り・眼鏡等
③抱拳礼が正しく行われているかどうか
Ⅵ採点する時の注意事項
①水準の見分け
·審判長の指示がある場合持ち、コート種目の配点の上限下限をゆるく確認する。また一番目の選手の“碰頭(ポントウ:会う)”=評点打ち合わせにより、水準を判断する。
最初の選手が不利と言う状況は決して印象付けてはならない。見ながら、書きながら、考えながら採点する。
·起承転結
起承:前半終わる頃、その選手の大体の水準が分からなければならない。基本的な所をチェック。[動作規格・勁力協調・精神・リズム]
転結:後半のチェック。[布局・構成・内容・風格]
②全体種目
(あくまで過去に総審判長が実施していた方法です。参考まで)
·コート上の選手の上限・中限・下限、 ○ △ ×で採点用紙に事前に表示し、「主要な物を見る、大体で分ける」。
·選手の上限の【上中 下】、選手の中限の【上 中 下】、選手の下限の【上 中 下】の九段階評価。具体的に見分けて、順位を決める。技術の評価によって点数を出す。又ある定まった方法で分析して点数を出す。
③選手が同じレベルの人と分析した場合
・内在する勁力、協調を見て評価する。意識の集中、内勁、手と眼の配合など。
④風格
・リラックスのし過ぎ、踊りの様になるのは武術の風格でない。これは良くない。
⑤内容
・陳式の発勁など、無理な力を出し過ぎ、呼吸の仕方に誤りがあると後半が乱れる。眼をキョロキョロしない、下を向かない。集中して、選手の内在するものを感じ評価する。
「あくまでルール規則で全てを貫く事。自分の好みで採点しない」
「比較的険しい競技なので、余り減点しない」
「一番目の選手を標準点とし、現場での内容を見て決める。予断をしてはならない」